2019/10/29
嗚呼、かのイラク戦争でも「米軍がイラクに付きっ切りになった途端にそれまで比較的融和的だった中韓が途端に態度急変」しておりまして、それこそ「その構図が『(韓国が高麗連邦に代わっているが)今度はシリアがらみで再現』」な気配に・・(;´д`)トホホこういう
「ある意味『超空の連合艦隊』を素で行く展開(かの小説でも「イラク戦争の厭戦ブームが日米安保破棄につながった」ストーリーでして)」に対処していくためにも
「自主防衛なくして同盟なし&同盟とは相互扶助」&
「令和の大攘夷体制」の履行&構築が…(思案)
追伸・「北極海戦争」の方でも「武装砕氷船をロシアが就航」させたそうでして、日本にとっても益々脅威に・・(;´д`)トホホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第二のサイクス・ピコ協定」シリア分割の“新地図”が確定
10/28(月) 12:16配信 Wedge
米軍の撤退やトルコ軍の侵攻で混乱が続いたシリア情勢はロシアのプーチン、トルコのエルドアン両大統領による首脳会談で、クルド人の国境地域からの排除とトルコの「安全地帯」設置に合意、事実上シリア分割の“新地図”ができ上った。なによりも印象付けられたのはプーチン氏の存在感で、中東全体に及ぼす影響力は揺るぎないものになった。
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“第二のサイクス・ピコ協定”
10月22日にロシアの黒海の保養地ソチで行われた首脳会談の合意では、トルコ軍が侵攻したシリア北部に「緩衝地帯」を設置し、29日までにその地域からクルド人武装組織「人民防衛隊」(YPG)を撤退させ、撤退後はロシアとトルコが国境から10キロの範囲内で合同パトロールを行うというものだ。
「緩衝地帯」の東西の外側にロシア憲兵隊やシリア国境警備隊が展開してクルド人の排除と武器の押収に当たるが、YPGの撤退後は「緩衝地帯」の管理権はトルコに委ねられる。侵攻作戦の範囲はシリア国境の町テルアビヤドからラスアルアインまでの「東西120キロ、南北32キロ」と明らかになった。
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重要なことは「緩衝地帯」の管理権をトルコ側が握るという点だ。トルコは敵対するクルド人の脅威から防衛するためとして、国境の東西440キロにわたって「安全地帯」を設置する計画を持っており、ロシアは「緩衝地帯」という名目でトルコ側の要求を半ば受け入れた格好だ。トルコはシリア難民360万人を収容しているが、負担を軽減するため、うち200万人をこの地域に送還したい考えと言われている。
エルドアン氏は合意後、トランプ米大統領に電話、「クルド人との停戦の恒久化」を伝達しており、シリア北部を今後とも支配する意向を明確にしたと見られている。領土を侵略された形のシリアのアサド大統領は、プーチン氏からの説明を受け、合意に賛同したとされているが、後ろ盾であるロシアがまとめた合意を断ることはできなかったようだ。
ベイルートの情報筋は「内戦で政権が倒れるところを救ってやったのだから、領土の一部を失うくらい我慢しろということではないか。いずれにせよ、ソチ合意により、シリアの分割が決まった。ロシアの管理の下、トルコが北部の一部を支配するという新地図ができ上った」と述べ、合意を“第二のサイクス・ピコ協定”と呼んだ。同協定は第一次世界大戦後のオスマン帝国の分割を決めた英仏ロの密約である。
なぜプーチンはエルドアンに肩入れするのか
なぜプーチン氏はエルドアン大統領に肩入れするのか。同氏の中東戦略にとって、トルコは今やシリアと並んで最大の資産になっているからだ。プーチン氏はこれまで米国の同盟国であるイスラエルのネタニヤフ首相、トルコのエルドアン大統領との個人的な関係を強化してきた。特に、トルコは北大西洋条約機構(NATO)の一員であり、トルコを自陣営に引き込めれば、西側の団結に楔を打ち込むことになる。
両者が親しくなったきっかけは2015年に発生したトルコによるロシア軍機撃墜事件だ。頭を下げたことがないといわれるエルドアン氏がプーチン氏に謝罪し、急速に接近した。背景には、米国に在住しているエルドアン氏の政敵ギュレン師の強制送還をトランプ政権が拒否したことなどから対米関係が悪化したことがある。
エルドアン氏は今年7月、米国の猛反対を押し切ってロシアから最新の防空システムを導入、米国は懲罰として最新鋭戦闘機F35の売却を差し止めた。このエルドアン氏の行動はNATOの反発を呼び、トルコの除名も議論されるまでになった。プーチン氏にとってみれば、思い通りの展開である。そして今回、エルドアン氏の要求を聞き入れ、シリア北部の支配を承認し、さらに恩を売った。
プーチン氏が中東の指導者に再評価されているのは、シリアに軍事介入して崩壊寸前だった同盟者のアサド政権を救い、最後まで支えたことだ。この点、米国が過激派組織「イスラム国」(IS)の先兵として血を流したクルド人をあっさり見捨てたのとは好対照だ。また普段、イランに対して攻撃的な言葉を浴びせながら、無人機を撃墜されたり、サウジアラビアの石油施設が攻撃されたりしても、報復行動をためらったトランプ政権とは違い、信頼できるという見方もある。
プーチン大統領はトルコのシリア侵攻後の10月14日、トランプ政権と親しい関係にあるサウジアラビアを訪問し、サルマン国王と会談した。予定されていた日程だったが、石油施設攻撃やトルコの侵攻という重大な出来事が起きている中での訪問となり、武器のセールスや関係強化を図る上で絶好の機会となった。サウジ指導部には、米国が有事の際に本当に守ってくれるのかという不信感が芽生え始めているとも伝えられている。
トランプの強弁に強い疑問
プーチン大統領が存在感を高める中、トランプ大統領は「シリア撤退は最大の失敗」(米上院議員)という批判をかわすのに躍起。ソチ合意によって成立した停戦を「米国が生み出した成果だ」と強弁、撤退についても中東の紛争から手を引く「重要な一歩」と正当化した。しかし、「失敗を勝利と呼ぼうと、あくまでも失敗だ」(民主党議員)などと強い疑問が投げ掛けられている。
トランプ大統領はホワイトハウスでの演説で「なんでも反対する連中はIS戦闘員が放たれるとか、クルド人が虐殺されるとか批判していたが、いまや“なんて凄い成果なんだ。おめでとう”と言っている」と述べる一方、「血塗られてきた砂漠の争いは他の誰かに任せればいい」と米軍撤収の持論を展開、ロシアやトルコの関与を歓迎した。
大統領はISにシリアの油田を奪われないよう小規模の米部隊をシリア東部に残留させることや、クルド人に油田防衛を行わせる考えも明らかにした。米紙などによると、約500人の部隊が残留、戦車も残すという。
しかし、大統領が成果を誇示するのとは逆に、ジェフリー・シリア担当特別代表は、ロシアとトルコが合同パトロールする合意は「何も好ましいことを生まない」と述べて疑問を呈し、IS戦闘員100人以上が行方不明になっていると懸念を表明している。
エスパー国防長官もNATO国防相会議の場で、トルコはロシアと合意したことで、米国や欧州と中東の米同盟国をひどい状況に陥れたと強く批判、大統領との温度差を見せつけた。現地のシリア北部では24日、トルコ軍とクルド人との衝突が起こっており、軍事的緊張と混乱は当分収まりそうにない。(
Yahoo!より抜粋)
【環球異見】米軍のシリア撤収 米紙「中東戦略の全体揺るがす」/露紙「米失策を『奇貨』に勢力拡大」
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シリアから米軍を撤収させるというトランプ米大統領の方針に乗じ、トルコがシリア北部の少数民族クルド人地域に侵攻した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討で米軍に協力したクルド人勢力は見捨てられる形となり、シリアのアサド政権に接近した。米軍撤収による「空白」を埋めるべく、アサド政権の後ろ盾であるロシアとイラン、さらにトルコが虎視眈々(たんたん)と影響力拡大に動いている。
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□米国 ワシントン・エグザミナー
■中東戦略の全体揺るがす
トランプ米政権の中東戦略の柱は、地域の最重要同盟国であるイスラエルを防衛するとともに、イスラエルや中東湾岸諸国を糾合してイランに対する一大包囲網を構築することだ。
しかし、「中東での終わりなき戦争を終結させる」と主張してシリア北部に展開する米軍部隊を撤収させたトランプ氏の決定は、こうした政権の中東戦略そのものを大きく揺るがし、「第5次中東戦争」の引き金になる恐れすらある。
国防総省の元高官で、現在は政策研究機関「アメリカン・エンタープライズ研究所」(AEI)で研究員を務める中東専門家、マイケル・ルービン氏は保守系誌「ワシントン・エグザミナー」(電子版)への寄稿で次のように述べる。
欧米諸国と価値観を共有しない体制やテロ集団にとって、外交を通じて紛争解決を目指す西洋型の姿勢は「付け入る余地のある弱点に映る」。そうした敵対勢力に対しては、「外交よりも抑止力が戦争を阻止し、平和を保証する」と。
同氏が「抑止力では軍事とともに心理的な要素が大きい」と指摘する通り、シリア北部に展開していたわずか数十人の米軍部隊が、トルコによるクルド人勢力への弾圧を押しとどめる最後の歯止めになっていたことには疑いの余地がない。
クルド人に対する軍事作戦を決行したトルコのエルドアン大統領に関し、ルービン氏は「恫喝(どうかつ)で相手から譲歩の引き出しを図り、うまくいけば要求を強める一方、立ち向かってくる相手には引き下がる」との行動様式があると分析する。米政権が当初からトルコ軍のシリア北部侵攻に明確に反対していれば、約2週間で500人前後のクルド人が殺害される惨劇は起こらなかったとの認識を示した。
ルービン氏はさらに、中東での紛争への関与を忌避し、クルド人勢力を「どうせ米国から7千マイル(約1万1千キロ)も離れた所にいるのだから」として見捨てるトランプ氏の態度は、中東情勢に重大な影響を及ぼしかねないと警告する。
同氏は「イランの指導部は、一連の米国の態度からみて、(米国に)戦争に踏み切ると脅しをかければ、米国とアラブ湾岸諸国、イスラエルとのパートナー関係を破壊し得ると本気で信じ始めている」と強調。米政権がイランによるホルムズ海峡でのタンカー攻撃などの挑発行為に明確な対応措置をとっていないことも、「米国は所詮、張り子の虎にすぎない」とする意識をイラン指導部の間に増幅させていると訴えた。
仮に宿敵のイスラエルを軍事攻撃したとしても、米国は反応しないのではないか-イランはかつてなくこう確信している可能性がある。ルービン氏は、こうした「自信過剰」こそが地域や世界に重大な結末をもたらす恐れがあるとの危機感を表明した。(ワシントン 黒瀬悦成)
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□ロシア モスコフスキー・コムソモーレツ
■米失策を「奇貨」に勢力拡大
ロシアのプーチン政権は2015年、IS掃討を名目にシリアへの軍事介入に乗り出し、アサド政権側が劣勢だったシリア内戦の構図を一変させた。ロシアはアサド政権による全土の掌握や中東での自国の勢力拡大を狙っており米軍のシリア撤収方針は奇貨にほかならなかった。
16日付の露有力大衆紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」は「プーチン(露大統領)は政治的な宝くじに当たった」と題する名物記者、ロストフスキー氏の論評を掲載した。
トルコが敵視するクルド人勢力は米軍撤収で孤立し、アサド政権や後ろ盾のロシアに庇護(ひご)を求めた。結果として、シリアをめぐるロシアの存在感は高まった。ロストフスキー氏は、トランプ氏が事を急ぐあまり迷走を深めている一方、ロシアは「どこでもでしゃばる乱暴者」として行動してきたことが奏功したと評する。
近年のロシアは、アサド政権だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコとも関係を深めてきた。22日、プーチン氏とエルドアン・トルコ大統領は露南部で会談し、シリア北部のトルコ国境地帯からクルド人勢力を撤退させることで合意した。この地域でのロシアとトルコの合同パトロールも行う。
「シリア北部で事実上独立しているクルド人勢力は、アサド政権の管理下に置く方がトルコの利益にかなう」。首脳会談に先立ってロストフスキー氏は、ロシアがこうトルコを説得できるだろうとみていた。
「思いがけない『宝くじへの当せん』。トランプ氏のシリアでの過ちは(ロシアにとって)こう解釈できる」。論評はこう述べ、「トランプ氏の失策は、中東でのロシアの地位をより強め、理性的な政治プレーヤー、有望なパートナーという米国の威信に打撃を与えた」と指摘する。
ロストフスキー氏は同時に、ロシアが今回の「成功体験」に舞い上がるべきではないと忠告する。米国に代わって中東で指導的役割を担うような国力がロシアにはなく、深入りは危険だと。(モスクワ 小野田雄一)・(
産経より抜粋)
トランプ政権、米軍残留で「新シリア戦略」推進へ
【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権による急襲作戦でイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)指導者、アブバクル・バグダディ容疑者が死亡したことを、政権はIS壊滅作戦の成功を決定づける「重要な勝利」(エスパー国防長官)と位置づけている。トランプ大統領は、先に表明したシリア北東部からの米軍撤収の決定を全面転換し、数百人規模の米軍兵力を残留させてISの再興を押さえ込む「新シリア戦略」を進めていく考えだ。
トランプ氏は27日の記者会見で、死亡したバグダディ容疑者の隠れ家からISの内部情報や今後の計画などに関し書かれた資料を押収したと明らかにし、ISを根絶するための重要な手がかりとして活用していく方針を示した。
トランプ氏はまた、先に激しい批判を浴びたシリア北東部からの米軍撤収を取り消し、米軍部隊を残留させる方針を決めたことに関し、「(北東部の)油田を守るためだ」と説明した。 ISは支配地域を失うまでは石油取引を重要な資金源としてきた経緯がある。トランプ氏は、油田をISから防衛することは「ISの勢力拡大の阻止につながる」と強調した。
北東部の油田地帯は現在、クルド人勢力を主体とするシリア反体制組織「シリア民主軍」(SDF)の勢力圏下にある。SDFとしては産出される石油の取引で得た収入でISやシリアのアサド政権、トルコに対抗できる兵力の確保が期待できるようになる。
一方、ロシアとイランも北東部の油田地帯の確保を狙っているとされ、米軍のプレゼンスはシリアでの両国による影響力拡大の牽制にもつながる。
現地からの報道によると、十数台の米軍車両が26日、イラクからシリア入りし、北東部の油田地帯に向かった。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると北東部に展開する米軍部隊は500人規模となる見通しだ。
トランプ氏の米軍撤収に反対し、油田防衛の重要性を訴えていた共和党のグラム上院議員は27日、記者団に対し、米政権の新戦略は、米国がコスト負担を負わずに地域の安定化を実現できるとして「(中東戦略の)新たなモデルを構築した」と称賛した。
一方、トランプ氏としては、急襲作戦の成功を強調し、いわゆるウクライナ疑惑をめぐる民主党や世論の批判をかわしたい気持ちも強いとみられる。
しかしトランプ氏は、重要な軍事作戦の実施の際に慣行となっている議会指導部への事前連絡に関し、「情報漏れ」を恐れて同党のペロシ下院議長に教えなかったことを明らかにした。ペロシ氏は猛反発しており、新たな与野党対立の火種となりそうな情勢だ。(
産経より抜粋)
IS指導者死亡 報復テロへの警戒強めよ
世界各地にテロを拡散させたイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)指導者、バグダディ容疑者が米軍の急襲により死亡した。
米軍は拘束した関係者の供述からシリア北西部の潜伏先を割り出し、特殊部隊が踏み込むと、容疑者はトンネル内に逃げ込み自爆したという。
バグダディ容疑者はシリアとイラクにまたがる地域でテロ組織による国家樹立を企て、ISは外国人殺害の様子をネット上に流すなど残忍な手法が際立った。
暴力を頼みとする無法行為は絶対に許さないという、米国の断固たる姿勢を示したといえよう。世界的なテロとの戦いにおける重要な節目とも位置づけられる。
もちろん、これにより、テロの脅威が消えるわけではない。
ISの関連組織が北アフリカやアフガニスタンなどに存在し、元戦闘員は欧州などに潜伏しているとされる。報復テロに対し、むしろ警戒を強めねばならない。
テロ組織としてのISの最大の特徴は、ネットを利用して、暴力的過激主義を世界中にばらまいたことである。
戦闘員はイスラム圏だけでなく欧米からも受け入れた。共感し単独でテロに走った者もいる。ISはネット上で関与を主張し、組織の存在を大きく見せた。
その過激思想はネット上で生き続けているとみなければならない。経済格差に不満を抱き、社会に疎外感を抱く若者らが各地にいる。感化されないよう各国で対策を講じる必要がある。
ISの教訓は、このテロ組織が米軍のイラク撤退とシリア内戦で生じた「力の空白」をついて支配地を拡大させたことである。
シリア内戦はいま、トルコの北東部への浸透で複雑化した。イラクも反政府デモで揺らいでいる。両国でテロ組織台頭の恐れがなおあると認識せねばならない。
米軍特殊部隊によるバグダディ容疑者急襲作戦の成功は、駐留部隊が目に見える形で現地に展開しながら各国部隊と連携し、作戦実施の支援にあたったことも大きいとみられる。
中東のほか、和平交渉が難航するアフガニスタンなどにあっては、テロ組織の活動を封じるためにも米軍の存在自体が極めて重要である。撤収を急いではならない。トランプ米大統領には慎重な判断を求めたい。(
産経より抜粋)
韓国経済「減速」が鮮明化、文大統領の対日強硬路線に微妙な変化
10/29(火) 6:01配信 ダイヤモンド・オンライン
● 韓国経済の先行き懸念が 一段と鮮明化
足元で、輸出の減少傾向などを受け韓国経済の先行き懸念が一段と鮮明化している。それに加えて最側近であったチェ前法相に対する世論の強い批判もあり、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する支持率が低下している。
本来であれば、文氏は反日姿勢を強め左派陣営の支持を得たいところだろう。しかし、日韓関係が一段と冷え込むと、そのマイナスの影響によって文氏の経済運営は行き詰まりかねない。支持率の低下に歯止めがかからないと、韓国における文氏の立場そのものが危機的状況に直面することも考えられる。
一方、文氏が大統領就任以来、反日姿勢とともに重視してきた北朝鮮との融和・統一構想も行き詰まっている。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、米国との交渉を進め、制裁の緩和や解除への道筋をつけたいと考えているはずだ。同委員長にとって、韓国を相手にする必要性も余裕もないだろう。
そうした状況を反映して、文大統領は徐々にではあるが対日姿勢を修正する必要性を気にし始めた兆候のようなものがみえる。それは、ある意味では、わが国が日韓関係を修復する重要なチャンスとなるかもしれない。冷静に韓国情勢の変化を見守る必要がありそうだ。
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● 韓国経済の“肝”である 輸出の減少傾向
現在、韓国経済の減速懸念はこれまで以上に高まっている。
特に、昨年12月以来、韓国経済の“肝”ともいうべき輸出は減少傾向を続け、今年9月まで10ヵ月続けて前年同月の実績を下回った。10月に入ってからも、減少傾向に歯止めがかかる兆候はみられない。
その背景の1つには、世界的な貿易取引の減少がある。20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米中の貿易摩擦が世界経済の減速懸念を高めているとの見解が共有された。世界的なサプライチェーンの混乱などによる貿易取引の落ち込みから世界各国で景況感は悪化傾向にある。
その中でも、輸出依存度の高い韓国経済は最も影響を受けている国の1つだ。
今後、米国経済の景気減速懸念が高まることになったり、英国のブレグジットの動向などによっては、さらに世界の貿易量が低下することも考えられる。その場合には、海外に依存してきた韓国経済の下方リスクは一段と高まることが想定される。そうしたリスクは、輸出依存度の高い韓国経済にとって、ある意味、想定通りの展開に落ち込んでいるともいえるだろう。
そうした状況下、韓国企業は生産能力を調整し始めたようだ。9月まで韓国の生産者物価指数が3ヵ月続けてマイナスになっている。生産能力の削減などを優先する企業が増加すると、韓国の雇用・所得環境にもマイナスの影響が波及しやすい。
一方、韓国の消費者信頼感も軟化傾向にある。成長の牽引役である輸出が減少傾向をたどり、国内の過剰生産能力の問題が顕在化しつつある経済環境下、韓国の家計は先行き不安を強めているのかもしれない。
それに対して、現在、文政権の経済政策は目立った成果を上げていない。今後、金融・財政政策を総動員しても、自力で景気回復を目指すことが難しくなる可能性は高まる可能性は高いはずだ。
● 中国経済の減速鮮明化と 日韓関係悪化の影響
韓国政府は、2019年のGDP成長率予想を2.0~2.1%前後に下方修正した。この背景には、中国経済の減速鮮明化と日韓関係の悪化が無視できない影響を与えている。
中国経済の現状はかなり厳しさを増している。中国経済は、明らかに成長の限界を迎えている。中国国内ではインフラ開発などを中心に、有効な投資案件が見当たらなくなっている。それに加え、鉄鋼分野などの過剰生産能力の問題も深刻だ。
IT先端分野でも一部の有力企業の堅調さを別にすると、企業の設備投資の落ち込みなどに影響されて取引価格にも下押し圧力がかかりやすくなっている。共産党政権が景気の安定を目指して刺激策を発動してきたにもかかわらず、今のところ目立った効果が見られないのが現状だ。中国経済の減速のペースは、多くの経済専門家の予想以上になっている。
それは、中国の需要取り込みを重視してきた韓国にとって致命的だ。また、中国ではファーウェイなどが自前で半導体などの生産能力の引き上げに取り組んでいる。中国の需要の落ち込みによって韓国経済への下押し圧力が加わるだけでなく、韓国企業は自前でテクノロジーの開発力向上に取り組む中国ハイテク企業との競争にも対応しなければならない。韓国企業にとっては、厳しい現実を突きつけられていることになる。
また、文大統領が日韓関係を悪化させてしまったことも、韓国経済にマイナスの影響を与えた。安全保障などに関する日韓の関係悪化を受けて、韓国企業はこれまでのように半導体材料などをわが国から調達することが難しくなった。日韓関係が悪化する中で、中国企業の台頭に対応することはそれほど容易なことではないはずだ。
また、日韓関係の悪化などから、韓国航空業界は日本路線の搭乗率の急落に直面している。すでに“フラッグキャリア”である大韓航空をはじめ、社員に対して“無給”休職の取得を求める航空会社もある。中国経済や日韓関係の動向によっては、さらに韓国経済の成長見通しが下方修正される可能性もあるとみられる。
● 文大統領の対日姿勢に 見え始めた変化の兆し
先行き懸念が高まる環境下、文大統領が一貫してきた“反日姿勢”と“北朝鮮との融和・統一”のスタンスを取り続けることは難しくなることも考えられる。
文大統領の北朝鮮政策は進展していない。むしろ北朝鮮は韓国を批判している。金委員長は金剛山観光地区にある韓国の施設撤去さえ指示した。本来であれば7月のように文氏は対日批判を強め、支持率をつなぎ留めたいだろう。
文氏の外交政策によって、韓国は国際世論から孤立しつつあるようにみえる。その証拠に、米国も韓国を相手にしなくなっているようだ。
10月15~17日に実施された一部の世論調査によると、文大統領の支持率は39%に落ち込んだ。支持率が40%を下回ったのは初めてだ。文氏を支持してきた市民団体などにとっても、経済運営をはじめとする文氏の政策は容認できなくなりつつあるのかもしれない。
日韓の関係がさらに冷え込めば、輸出入を中心に韓国経済にはさらなる下押し圧力がかかるだろう。状況によっては、韓国経済が自律的な回復を目指すことが難しくなる可能性も排除できない。
徐々に、文氏もこうしたリスクに気付き始めたのかもしれない。秋口以降、文氏の対日批判は幾分かトーンダウンしてきた。また、同氏は、今回のわが国の天皇即位礼の機会に、李洛淵(イ・ナギョン)首相に安倍首相への親書を託した。文氏は自らの対日政策に少なからぬ不安を抱き、修正を目指し始める兆候の可能性がある。
すでに韓国の経済界は文氏の政策を期待しなくなっている。文氏が反日姿勢を強めれば、経済界と保守陣営が共闘して、本気で政権交代を目指す展開も想定される。文氏はそれを避けなければならない。
日韓関係がどうなるか先行きは楽観できないものの、日本にとって日韓関係の修復を目指すチャンスが到来する可能性はやや高まっているようだ。日本は、できるだけ国際世論の支持を維持しながら、冷静に文政権の動向を見守ればよい。文政権の姿勢が本当に変化するのであれば、その機会を逃すことなく日韓関係の修復に努めるべきだ。
ただ、文大統領に大きな期待をかけることは禁物だ。これまでの経緯を振り替えれば、同氏は全幅の信頼をおける政治家ではない。とにかく冷静に、地に足を付けて、じっくり韓国の状況を見ることが必要だ。(
Yahoo!より抜粋)
【歴史の交差点】「知日派」の矛盾と不幸 武蔵野大特任教授・山内昌之
ノーサイドという言葉は、国民の日常語になった感もある。ラグビー用語を国語の中に定着させた日本代表チームの功績は大きい。今年の流行語大賞の有力候補かもしれない。
他方、ノーサイドほどでないにせよ、一部で使われる「知日派」という言葉も興味深い。これは、即位礼正殿(せいでん)の儀で来日した韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相についてしばしば使われる表現である。親日派ではなく知日派と呼ぶのは、日韓関係の独特なアヤや距離感を示しており、すこぶる興味深いものだ。李氏は日本特派員の経験があり、人脈もあるので知日派と呼ばれるのだろう。
氏が親日派といわれないのは、民間人だった当時ならいざしらず、韓国の政治家として親日派と呼ばれるのは、失脚につながる資質であっても美質ではないからだ。しかし日本に必要なのは、日本への過剰な批判や憎悪に偏せずに、普通に接してくれる一般韓国人の存在ではないだろうか。その意味で知日派なる表現は分からなくもない。
知日派に相当する言葉が韓国にあるのか否か詳(つまび)らかでない。日本では知中派と知米派という用語はまず聞いたこともなく、やや不自然な用法のように思える。使うなら、日本通や韓国通という表現が中立的ですっきりする。あるいは親日派や親韓派というのも分かりやすい。知日派という表現はどうも政治家や言論人の立ち位置や責任をあいまいにするのではないか。ひょっとして親日でも反日でもない日本通の立場をそう呼ぶとすれば、民主主義と複数主義の国・日本には朝のテレビ番組からインターネットに至るまで、さまざまな親韓や反韓の言論もあり、わざわざ知韓という必要もないのと対照的である。
李氏は安倍晋三首相と対談を行ったが、格別に知日派なる個性や優位性を発揮したわけでもない。政治家なら日本通であっても、徴用工問題は1965(昭和40)年の日韓請求権協定でまだ解決済みでないという立場も理屈ではありうる。韓国の首相なら、当然反日的な世論の動向を無視できないからだ。
李氏をわざわざ知日派と呼び日韓関係正常化のカギでもあるかのように語るのは、本人にも有益でなく、期待する人たちの主観的な願望思考を満足させるだけの不幸にすぎない。李氏が来日して韓国も日韓請求権協定を順守してきたと語り、「尊重する」とタテマエをいくら述べても、青瓦台(韓国大統領府)がレーダー照射問題や徴用工判決や慰安婦合意で問題を引き起こした事実にタテマエとホンネを重ねている限り、李氏が知日派なる存在感を発揮できる余地は最初から限られている。
李氏が知日派だというのは、今後まず韓国政府や世論に会談した安倍首相の考えを正確に咀嚼(そしゃく)して説明するか、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に日韓請求権協定の尊重を説得する点にかかっている。しかし、それは将来のノーサイドへの出発点に立つにすぎない。日韓関係のノーサイドは、ラグビーのルールよりも複雑で入り組んだゲームの終着点であり、たやすく実現されそうにもない。 (
産経より抜粋)
韓国人観光客の減少で困るのはコリアン系ばかり?
2019年10月30日 06:00 八幡 和郎
あちこちのマスコミ媒体が、韓国人観光客の減少で日本経済への打撃が広がっていると根拠薄弱な記事を出している。しかし、本当に困っているのは、コリアン系の人や企業が主でないかという問題提起を、『ありがとう、「反日国家」韓国 – 文在寅は〝最高の大統領〟である! 』(ワニブックス)でした。
たしかに、韓国人観光客が減ることで仕事が減った人は多いと思う。しかし、外国人観光客は増えているので、観光業界全体として困っているとは見えない。
対馬とか別府とか韓国人にとくに人気があるところは若干の問題があるので対策が必要だ。しかし、普通はビジネスのなかで韓国人観光客への依存度が高い会社は、在日の方々や韓国企業が経営しているところが多いのではないか。
たとえば、韓国語の通訳などしている人について考えると、韓国生まれの韓国人、韓国籍や朝鮮籍の在日の人たち、それに日本に帰化した半島系の人をひっくるめてコリアン系と呼ぶとすれば、大部分を占めるだろう。
韓国で生まれて日本語を勉強した人もいるだろうし、日本の朝鮮学校の出身者もいる。日本の大学の韓国・朝鮮語学科についても、極めて大きな割合がコリアン系だと思う。
また、韓国史とか日韓関係を専門にしている人にしても、大きな部分はコリアン系だ。私が韓国史を勉強するようになって気がついたのは、日本で刊行されている韓国史についての日本語文献の多くがコリアン系によるもので、もっぱら韓国の一方的な言い分を擁護しているということだ。
もちろん、アメリカ史やフランス史の専門家もそれぞれの国を贔屓している傾向はあるが、それとは性質が違う。中国語や中国史の専門家も華人がほとんどなどと言うことはないのとは別の問題があるのだ。
韓国人向けの観光を組織している日本側の企業、ホテル、飲食店などにもコリアン系が多いと思う。
NHKのニュースに登場し、「韓国からの観光客が減って困っている」と話した旅行会社の経営者の日本語は、明らかに韓国訛りだったので笑えた。結局は自滅のブーメラン、まさにコリアン同士で天に唾しているということになる。
在日の方は日本だけでなく世界中で日本料理屋なども経営し、日本文化の普及に貢献されている。私がパリに勤務していたころ、トップクラスの日本料理屋のひとつは大阪で在日の方が買収された名門ホテルの経営だったが、頻繁に駐仏韓国大使の公用車が前に止まっていて、パリを舞台にしたコリアン同士の日本文化を通じた交流を興味深く観察させていただいた。
赤坂にはコリアンバーがたいくさんあって、あのマレーシアで暗殺された金正男もお気に入りだったようだが、客も経営者も女性もコリアン系だ。
日本への観光客が減って、韓国の航空会社が経営危機というニュースも流れてくるが、勝手にやってくれという印象だ。
東京の大久保あたりのコリアンタウンは、もともと日本人の客が減って困っていたが、こんどの、韓国人観光客の減少で息の根を止められる店も多そうだ。
しかし、以上のようなことは、事実の積み重ねとしては間違いないが、統計的には分からない。国立大学の朝鮮語学科の学生のうちどのくらいがコリアン系か調べるのにはかなり面倒がありそうだ。
しかし、日韓関係の冷え込みで日本側にもひどい被害が出ているなどという前に、そうしたことも分からないのではおかしいのではないか。政府は、そういう実態を不完全でも調査すべきだ。それが分からずに、対策なんぞ立てられない。
逆に、日本側でも非コリアン系の韓国専門家を養成すべきだと思う。欧米ではルーツを秘密にする人はあまりいないから、たとえば、中東問題についてユダヤ系やらアラブ系の人がそれを隠してアメリカを非難することもない。テレビやマスコミで働いている人たちも隠れてなんぞしていないから、マスコミはユダヤ系に支配されている実態だってわかったうえで批判され、バランスがとれているが、日本では噂だけで、それが本当か嘘かも分からない。
NHKが職員のうち外国人の割合はと聞かれて、「調査してないので分かりません」といって終わりにしているのはおかしいと思う。
もちろん、韓国との関係ほど極端ではないが、中国との関係でも同様の問題がある。今後、その傾向が強まってくると思うから警戒したい。(
アゴラより抜粋)
「北朝鮮が核を手放すことはない」 知日派の安全保障専門家が語る
10/25(金) 11:44配信 PHP Online 衆知(Voice)
北朝鮮情勢について、スタンフォード大学フーバー研究所リサーチフェローで、アジア地域の安全保障が専門のマイケル・オースリン氏は、北が体制変革以外で核を手放すことはない、と指摘。
月刊誌『Voice』11月号では、同氏が専門家の視点から、拉致問題を抱える日朝関係の展望を語っている。本稿ではその一節を紹介する。(取材・構成 大野和基:国際ジャーナリスト)
※本稿は『Voice』(2019年11月号)マイケル・オースリン氏の「自衛隊増強で「アジアの終わり」を防げ」より一部抜粋、編集したものです。
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北朝鮮は「核能力がある国」
――北朝鮮の金正恩氏が核兵器を放棄する気配はまったくありません。北朝鮮は何十年も日本やアメリカを騙し続けて、次々にミサイルを開発してきました。
インドやパキスタンが核保有国であることをわれわれは認めていますが、北朝鮮が核保有国であることを認めることは間違っているのでしょうか。
【オースリン】 もし北朝鮮が核保有国であることを認めると、核不拡散体制をより大きなリスクに晒すことになります。たとえばミャンマーやイランなどの他国が「北朝鮮が核保有国であることを承認するならば、自分たちの核保有も認めてほしい」と言う可能性が出てくる。
現実的には、北朝鮮に核があることを皆知っています。北朝鮮を核保有国と認めないことは筋が通りません。そういう意味で、北朝鮮を「核能力がある国」(nuclear capable state)と呼ぶことはできると思います。
――では、その北朝鮮の能力について他国はどう対応するべきですか。
【オースリン】 北朝鮮をノーマルな核保有国として扱うべきではありません。条約で認められた核保有国は、核の不拡散や廃棄物処理といった国際ルールに従っていることが前提です。ところが北朝鮮は、何十年にもわたって核を他国に拡散しようとしている。拡散をやめるまでは、核保有国であると認めることはできません。
一方で、北朝鮮に対してわれわれは何ができるかについて、真剣に考えなければなりません。核能力がある北朝鮮をいかに封じ込めるのか、それは非核国への対応とどう違うのか、模索する必要があります。
北朝鮮問題の解決策を誰も見出せていない
――金正恩氏は経済援助を得る交渉で優位に立つために、核というカードを使っていますね。
【オースリン】 北朝鮮の指導者は、つねに核を外交カードとして利用します。
北がIAEA(国際原子力機関)からの脱退を宣言した1994年、初の核実験を実施した2006年、そして核実験・ミサイル発射の中断とIAEAの査察に合意したにもかかわらず、2カ月も経たないうちにミサイルを発射した2012年もそうでした。
――そういう意味では、北朝鮮の「核保有」は固定化し、廃絶は不可能にみえます。
【オースリン】 彼らが実際に核兵器を手放すとは誰も考えていないでしょう。トランプ大統領がどう考えているかはわかりませんが、彼の口調では、まるで金正恩氏が核兵器を放棄すると思っているように聞こえることがあります。
また、アメリカが望んでいるのは現時点で北朝鮮の核プログラムを凍結させて、うまくいけばすべてのミサイル発射のモラトリアムを得ることである、と聞こえることもある。
私は、北が「regime change(体制変革)」以外の理由で核を放棄することはないと考えています。核を保有することは北朝鮮の国益にはならない、と金正恩氏が判断することはほとんどありえないでしょう。
はっきり言って、北朝鮮問題について誰もその解決策を見出せていません。日本には拉致問題があるので、北朝鮮とは特別な関係です。日本には北朝鮮からの労働者が多く滞在しています。
米朝間よりも日朝間のほうがはるかに交流が多いため、拉致問題は決定的に重要です。北朝鮮の態度を変えようとすることについて、日本は広範囲の戦略的視点をもつべきだと思います。(
Yahoo!より抜粋)
米中貿易戦争の影響占う3要素 「政治経済事情」と「貿易依存度」「対米交渉の経緯」で説明可能 高橋洋一 日本の解き方
国際通貨基金(IMF)は世界経済見通し(WEO)で、2019年の成長率を3・0%と予測し、7月時点から0・2ポイント下方修正した。これは過去10年で最も低い伸びだ。米中貿易戦争の影響などを挙げているが、世界経済の減速は深刻なのか。日本にはどのような影響があるのか。
ワシントンで20日まで開催されたIMFと世界銀行の年次総会は各国からの嘆き節ばかりが聞かれたようだ。米中貿易戦争など米国が仕掛けた一連の貿易交渉により、IMFのゲオルギエワ専務理事は「誰もが敗者になっている」と述べたという。
ただし、世界各国の悪影響は一律ではなく、各国の政治経済事情、貿易依存度や米国との貿易交渉の経緯によって異なる。
米国自身も、中国が米国の農産物に高関税を課したので農家にとっては苦しい。筆者の予想は、関税の引き上げによる収入を農家対策として支出するという政治的な対応を行うというものだ。一方、米国経済全体でみると、貿易依存度が低く内需中心なので引き続き世界の中で最もダメージが少ない。
欧州は、貿易依存度が高い上に、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)とEU・米国間の貿易摩擦により、経済の落ち込みは深刻だ。これまでEU域内で圧倒的な経済力を誇っていたドイツも貿易依存性が高いため苦しい。それに加えて、後述する中国経済悪化の影響も大きい。欧州のほかの国でも、ブレグジットの余波を受け、経済は芳しくない。
日本は貿易依存度が低く、米国との貿易摩擦も他国に比べれば、ほぼないに等しい好環境だ。だが、消費増税という国内問題を抱える。内閣府は10月の月例経済報告で景気判断を下方修正している。
中国は、公式統計を信用できず、実際は、はるかに激しく経済成長率が落ち込んでいると筆者はみている。来年11月の米大統領選までは、トランプ大統領が対中姿勢を抜本的に改める可能性は少ないので、中国としても出口が見えない。間違いなく米中貿易戦争の最大の敗者だといえる。
韓国も中国経済への傾斜を強めてきたので、その落ち込みの悪影響をもろに受けている。それに、韓国が自ら、まいた種とはいえ、日韓摩擦の影響が上乗せされ、経済どころか政権自体が揺らいでいる。
新興国もおしなべて成長率が鈍化している。アフリカ諸国は、米中貿易戦争によりエネルギー部門が悪影響を受けた。ペルシャ湾岸地域も、地域での不安定な政治情勢を受け経済が冷え込んでいる。
以上のとおり、各国経済は、政治経済事情と貿易依存度、米国との貿易交渉の経緯でほとんど説明可能だ。この観点からすると、日本がこのタイミングで消費増税を行ったのは返す返すも残念である。ただし、景気対策を行えば悪影響を除去できる。台風、地震など自然災害対策も急務なので、マイナス金利を生かして将来投資を行い、景気を浮揚させるべきだ。景気対策いかんによっては、日本は世界経済の難局を好機に転じることもできるだろう。(
夕刊フジより抜粋)
香港が崩れると中国の支配は一帯一路を通じてアジア、アフリカへ
10/30(水) 12:10配信 ニッポン放送
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月30日放送)に国際政治学者の細谷雄一が出演。混乱が続く香港情勢の今後、中国の影響力の浸透について解説した。
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香港区議会選挙への黄之鋒氏の立候補、認められず
香港政府は10月29日、11月に実施する区議会選挙(地方議会選挙)に出馬を届け出た、2014年の民主化運動「雨傘運動」のリーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の立候補を認めない決定をした。香港政府は「香港を中国の一部と定めた基本法に反する」と理由を述べている。
飯田)「香港の独立を支持するか」という質問には「NO」と答えていたのですが、政治的に却下されたのではないかと言われています。香港情勢をどうご覧になっていますか?
細谷)もともとイギリスと中国の間では、一国二制度ということで、あくまで香港の自治を認めることが香港返還のときの合意だったわけです。ところが、いまはイギリスと中国の国力が完全に逆転して、この問題に対してイギリスはほとんど批判をしていません。アメリカも世界中から影響力が後退しています。中東でもアメリカに代わって、トルコとロシアが影響力を拡大していますが、同じように香港や台湾を含めてアメリカの影響力が後退すれば、中国の影響力が拡大します。つまり、いままで中国の統治下にあった地域を超えて、中国の意向が反映されます。中国の意にそぐわない人に、通常の法の支配を超えた圧力がかかって来ます。
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中国の支配は一帯一路を通してアジアやアフリカに広がる
細谷)今度はそれが東南アジアまで広がると思います。いま香港で起こっていることが、一帯一路で中央アジアやアフリカへ入って行く。これが世界中に広がるのを押し戻せるかどうか。中国国内で中国がどういう行動をするかということは、中国の自由なのですが、香港はグレーゾーンです。あくまでも中国国内ということになっていますが、同時に一国二制度ですので、今回の行動に対してますますデモがエスカレートするでしょうね。中国に完全に飲み込まれるかどうかの瀬戸際にいるというのが、香港の人たちの認識ではないでしょうか。
監視カメラによって行動を把握されている香港市民
飯田)いままでのデモではマスクを着けていたのですが、それすら禁止ということになってしまいました。そうでなくても、香港警察の取り締まりの仕方があまりにも無茶過ぎると。ほとんど丸腰の市民に対して、銃弾を発砲するわけですよね。どんどん香港警察も中国化しているところがあるような気がします。
細谷)今回も香港のデモで、電灯がたくさん壊されているのをご覧になったと思うのですが、あれは電灯に監視カメラが埋め込まれているのです。中国と同様に、香港でも多くの監視カメラで市民の行動が把握されています。マスクをするのは顔認証を避けるという目的もあるのですが、それができなくなって来るということは、香港の人たちが丸裸で中国の監視にさらされることになります。どこまで中国の影響力の浸透を許すのかというところで、これ以上許してしまったら自分たちの自治が失われるという、強い恐怖心を抱いていると思います。
飯田)押し戻せるかどうかはアメリカの行動にもかかっていると思いますが、制裁リストの会社のなかに「ハイクビジョン」という会社が入りましたよね。まさに顔認証をやっている会社ということになります。
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統治のために発達した中国のIT技術~デジタル権威主義
細谷)例えばアリババのジャック・マーが中国の共産党員ということで、中国の多くのIT企業は我々の考えている以上に共産党政権と結びついていることが、ここ何年かで報道されていました。中国の技術がなぜここまで発展したかと言うと、国内の統治に必要なものでIT技術が発達した部分もあったのです。逆にアメリカや日本は、そこまで国民を監視する必要がないですから、そういったシステムが発展していないのかもしれません。したがって中国型の統治、デジタル権威主義と呼びますが、これが世界中に一帯一路で広がっているのです。言い換えると、個人の自由や人権を守るという、日本や西側諸国のリベラルデモクラシーが大変な危機にある。つまり後退しているということです。このことは世界のなかで大きな傾向として、これからも続いて行くだろうと思います。民主主義は後退し、権威主義が広がって行く、その1つの事例が香港だと思います。(
Yahoo!より抜粋)
中国オフショア人民元戦略:グレーターベイエリアにマカオ証券取引所
遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
混沌とする香港情勢の中、中国政府は8月、グレーターベイエリア経済構想に重点を置く方針を打ち出したが、そこにはマカオに証券取引所を新設する戦略が潜んでいた。人民元国際化を強化する中国の狙いを読み解く。
◆マカオ証券取引所の創設
8月9日、中共中央・国務院は「深センを中国の特色ある社会主義先行モデル区に指定することを支持することに関する意見」を発布した。これに関して筆者は本コラムで<「こっちの水は甘いぞ!」――深センモデル地区再指定により香港懐柔>という視点からの考察を試みたが、どうも自分自身、しっくりとこない何かが残っていた。
それを明らかにすべく、本シンクタンクの中国代表である研究員・孫啓明教授と連絡を取り続けていたのだが、10月20日、孫啓明教授から以下のようなメールが舞い込んだ。
――中国政府の目的は決して深センを「香港を代替させる役割」として位置づけているのではなく、あくまでも「香港、深セン、マカオ(澳門)」を同等に位置づけ、「三足鼎立(ていりつ)」(三つの勢力が並び立つ)により三つのオフショア人民元のチャンネルを創ることにあります。マカオはやがて新しい証券取引所を設立することになっています。まだ中央による正式の発表はありませんが、しかし12月になったら公表するでしょう。マカオの中国返還20周年記念日である今年の「12月20日」あたりに注目しているといいでしょう。
――中国には現在5つの証券取引所があることになります。「上海、深セン、香港、台湾そして新しく設立されるマカオ」の5つです。このうち台湾はまだ大陸の管轄外なので、現実的には大陸には4つの証券取引所があることになり、それは「珠三角(珠江デルタ)」に3つ、「長三角(長江デルタ)」に1つということになります。マカオ証券取引所はオフショア人民元のナスダック市場を目指しています。時期が熟せば、マカオ証券取引所の設立は、中央(政府)がマカオ返還20周年記念のビッグ・プレゼントになるでしょう。
―― マカオ証券取引所は何をするかというと、先ずは国内最先端科学技術イノベーション企業に対するサービスをして(上場してもらい)、その株を人民元で取引するというスキームを形成します。マカオを通して自由に資金の行き来を可能ならしめ、その株は人民元で取引できるようにします。マカオの資金の出し入れは自由なので、全世界の取引者は誰でもマカオ証券取引所を通して人民元を使って取引することが可能になるのです。これは中国の「株を印刷する」チャンネルを増加させ、企業の体制改革を促して上場しやすいようにし、実体経済を発展させます。
――もう一つ重要なことは、実はこれこそが最も重要なのですが、海外諸国に対して人民元による投資チャンネルを増やしてあげる役割を果たし、人民元の「使用価値」を高めることに利するということです。これこそは即ち、人民元の国際化を促進させることにつながるのです。オフショア人民元の価値を高めるには、そのマーケットを広げていかなければなりませんから。
――最後に一つ。実はこれは、中国にとっての対米戦略ゲームの中で、「金融カード」という、決定的なカードを1枚増やしたということに相当するのです。
◆グレーターベイエリアとオフショア人民元戦略
これは衝撃的なメールだった。
しかし思い起こせば2003年、香港で基本法第23条の中にある国家安全条例制定を巡って激しいデモが起こり、遂に条例の制定を撤廃させただけでなく、当時の香港の行政長官(董建華)を退任にまで追いやったことがあった。
その同じ年に中国(北京政府)はマカオを手なずけて「中国・ポルトガル語圏諸国経済貿易協力フォーラム」を設立し、ポルトガル語を使用するアンゴラ、ブラジル、カーボベルデ、ギニアビサウ、モザンビーク、ポルトガル、東ティモールの7カ国が参加する形で、経済・貿易協力の強化を図ってきた。
2016年には李克強がマカオを訪問して当該フォーラムに出席し、今年4月にはポルトガルの大統領が訪中するなど、ポルトガルとの連携を深めている。グテーレス氏(元ポルトガル首相)を国連事務総長に押し上げるために動いたのも中国だ。
ということは、北京の頭には、「香港は民主運動などの抗議デモが多いから、マカオを中心に世界貿易の窓口を創ろう」という戦略が、2003年からあったということができるのかもしれない。
それが今年の香港デモの最中に発表された深センの先行モデル地区指定とグレーターベイエリアを抱き合わせた戦略の発表であったと解釈すべきであった。
現に今年10月12日、広東省の地方金融監督管理局の何暁軍局長は、嶺南フォーラムで次のように述べている。
――マカオ証券取引所設立の案は、すでに中央に報告済みだ。マカオ証券取引所がオフショア人民元の市場として、ナスダックのような役割を果たしていくことを希望している。マカオは既に、オフショア人民元の証券市場としての第一歩を踏み出しているのだ。
――今年2月、中共中央国務院は「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)発展計画綱要」を発表したが、まさにその中で「特色ある金融産業を大々的に発展させよ」と明示しており、かつ「マカオに人民元による取引が出来るようなオフショア人民元プラットフォームを形成せよ」と強調している。
香港はかつてイギリスが統治していたが、イギリスには「イギリス連邦」(British Commonwealth of Nations=イギリスと旧イギリス植民地から独立した諸国で構成されるゆるやかな連合体。2017年でもなお52か国が加盟)があり、1997年にイギリスが香港を中国に返還するまでのプロセスで多くの国が関与してきた。特にアメリカは1992年に「香港政策法」を制定して、「中国製品に課している関税を香港には適用しない」などの優遇措置を講じてきている。これを逆手にとって、香港の自治を認めないなら、その優遇措置を外すぞと脅しをかけてきたのが「香港人権・民主主義法案」だ。これは今年10月15日に既に米下院で可決され、あとは上院での可決とトランプ大統領のサインを待つだけだ。
この法案が完遂されれば、今後はアメリカが常に「香港の高度の自治が守られているか否かを毎年検証する」ことになる。
中国は要するに、こういった柵(しがらみ)のないマカオへと、香港の役割を徐々に移行させていって、グレーターベイエリア全体で一つの都市圏を形成し、オフショア人民元のマーケットを広げていこうとしているのである。そうすればアメリカの干渉は受けなくて済む。
孫教授の言う通り、たしかにマカオに証券取引所が出来れば、珠江デルタに3か所も証券取引所ができることになり、多くの発展性を秘めていることになる。
珠江デルタの都市圏人口は7,342万人におよび、これを一つの都市として扱えば、世界最大の都市圏になるだろう。
おまけに深センは今や中国のシリコンバレーと言われており、経済的にも技術的にも実力を持ったハイテク企業が密集している。
中国は2014年4月に上海(滬)と香港の証券取引をつなげる「滬港通」を提携させた。だから上海でも香港の株を売買できる。逆に香港でもまた上海の株を売買できる。
これと同じ機能を、2016年12月に香港と深センの間で締結した。
いわゆる「深港通」と称する。
同様のことをマカオとも結び、グレーターベイエリアを一つの都市圏とみなして、「金融大都市」あるいは「大証券取引所」のように位置づけて、香港がダメージを受けてもマカオと深センで一体となって支えていくというメカニズムを創り、かつオフショア人民元マーケットを拡大していくというのが、中国の戦略であることが見えてきた。
◆香港の役割とオフショア人民元の割合
現在のところ中国大陸に投資される資金の70%近くは香港を通して実行されているが、逆に中国大陸から海外に投資される資金の59.6%が、香港経由である。2019年9月11日に香港で開催された一帯一路サミットで、国家発展改革委員会副主任で、国家統計局の寧局長が述べている。
一帯一路を支える資金一つであるAIIB(アジア投資インフラ銀行)はドル建てで支払われるが、シルクロード基金は23%が人民元で、香港から直接人民元で一帯一路沿線国に投資している。中国統計局によれば2017年度対外直接投資の内20%は人民元とのことである。
今後香港は、中国大陸からの「出口」の部分を主として担い、「入り口」の部分はマカオが(深センとも協力しながら)担う方向に、徐々に移行していくことだろう。そうすればアメリカからの影響を受けなくて済む方向にシフトできると中国は戦略を練ってきたわけだ。
香港デモは、結果的に「グレーターベイエリア」を「中国の巨大金融エリア」へと育て上げていく役割を果たしたと解釈できなくもない。なんとも皮肉な結果に複雑な思いがよぎる。 (
Yahoo!より抜粋)
アメリカ海洋覇権に陰りか。海軍幹部が目標とする355隻体制の実現困難認める
高橋浩祐 | 国際ジャーナリスト 10/30(水) 19:22
アメリカ軍の再建を掲げるトランプ政権下で、アメリカ海軍は2034年までに保有艦艇を355隻に増やすことを目指してきたが、その実現が大いに危ぶまれている。中国の今後のさらなる海洋進出を念頭に置いた、アメリカ主導のインド太平洋戦略にも影響を与えかねない。海洋覇権をめぐる中国との攻防が激しさを増すなか、アメリカは海軍力の優位性を保てるのか。
アメリカ海軍作戦副部長ロバート・バーク海軍大将が10月25日、バージニア州アーリントンで開かれた軍事ジャーナリストらが集う会議に出席し、次のように断言したのだ。
「355隻の海軍というのは素敵な目標だ。しかし、艦艇の準備万端さの方が海軍にとってはるかに重要である」
「われわれは355隻体制に到達できるだろうか。アメリカ海軍の予算が組まれる今日の財政状況を考えると、全体として305隻から310隻は保有できる。それは適切に要員があてがわれ、適切にメインテナンスされ、適切に装備され、そして、適切に準備された場合にだ」
アメリカ海軍は現在、290隻の艦船を保有する。しかし、海洋進出が目立つ中国の急速な軍拡への強い危機感も背景にあり、2016年に空母や潜水艦などを含め、保有艦艇を355隻に増強する計画を立てた。トランプ大統領もこれを支持している。
●355隻体制には2倍以上の予算が必要
アメリカ海軍は、2020会計年度(19年10月~20年9月)の国防予算では、2056億ドル(約22兆3800億円)を要求。そして、2024年までに314隻体制を目指す計画を示した。しかし、前年度の2019年度予算では、2023年までに326隻体制を打ち出していた。つまり、2019年度からすでに計画が尻つぼみになってきている。
それでも、アメリカ海軍は、自らの2020年度造船計画でも改めて、2034年までに355隻体制の目標を改めて打ち出している。しかし、アメリカ議会予算局(CBO)が10月8日に公表した、この海軍造船計画に関する分析報告書によると、355隻体制に到達するには、過去30年の年平均予算の138億ドルの2倍以上に当たる288億ドル予算が毎年必要になると見込まれている。そして、このCBOの分析報告書は、海軍当局者によるアメリカ議会への説明をもとに、355隻の目標が変更される可能性を示している。
つまり、今後よほどの大胆な財政出動がない限り、アメリカ海軍の355隻体制はすでに張りぼての目標と化しているのだ。
●アメリカ海軍の足元を揺るがす財政難
アメリカ海軍の足元を揺るがしているのが、今や約23兆ドル(約2500兆円)に及ぶアメリカ連邦政府の累積債務だ。アメリカ財政の台所は火の車なのだ。
振り返れば、アメリカは第2次世界大戦終了後、圧倒的な海軍力で太平洋など世界の7つの海を守り、航行の自由を保障してきた。しかし、第2次世界大戦を終えた1945年には6768隻もあった米海軍の艦船は今や、その5%にも満たない290隻にまで減っている。
このため、アメリカは、マラッカ海峡やソマリア沖での海賊の出現といった事態を引き起こしてきたほか、南シナ海では、野心あふれる中国の実効支配の動きを容認せざるを得なくなってきている。
「1980年代にはアメリカ海軍は600隻を保有し、艦艇一隻の平均的な造船費用は10億ドルだった。しかし、290隻を保有する今日では、平均費用は20億ドルに及んでいる」。1980年代に海軍当局に勤務したトーマス・モッドリー氏は、前述のバージニア州アーリントンで開かれた会議でこう発言している。
モッドリー氏によると、空母打撃群が常にアメリカ海軍の金食い虫で、その費用は膨らんでいる。空母打撃群の費用は、1980年代は海軍全体のオペレーティングコストの14%を占めていたが、現在は31%にまで達しているという。
アメリカ海軍が目標とする355隻体制は、12程度の空母打撃群をベースに計画が立てられているが、モッドリー氏はこの体制を維持するのは困難で、「非常に大胆な目標」と一蹴している。
●中国の台頭
中国は過去10年間でアメリカの4倍に当たる戦闘艦数を建造し、中国海軍は現在、すでに水上戦闘艦370隻余りと潜水艦約66隻を保有しているとみられている。一部の専門家は、中国海軍が2030年には水上戦闘艦450隻超と潜水艦100隻超をそれぞれ擁する可能性を示している。この中国の艦艇数は、単純比較すればアメリカを圧倒的に凌駕する。特に中国は潜水艦や揚陸輸送艦、小型水上戦闘艦の増強に注力し、アメリカの海洋覇権を徐々に脅かしつつある。
アメリカ海軍がかりに2034年までに海軍の保有艦艇を355隻に増やせたとしても、中国相手にアメリカの海洋覇権を維持するためにはそのスピードも資金も十分ではなくなってきている可能性がある。その分、アメリカは日本やオーストラリア、インドといった中国周辺国との連携をさらに強めざるを得なくなろう。(
Yahoo!より抜粋)
【緯度経度】対中政策、日米に相違 古森義久
米国のアジア関連の専門家集団が日本と米国の対中政策の相違がトランプ、安倍晋三両政権の間に対立を生み、日米同盟の根幹にまで影響を及ぼす危険がある可能性を指摘した。
ペンス副大統領が最近、発表した対中新政策でも安倍政権の政策とのギャップが明らかとなり、今後の安倍政権にとってトランプ政権との対中姿勢の調整が重要課題ともなりそうだ。
ワシントンの民主党系大手研究機関ブルッキングス研究所は10月下旬、「パワー大競合時代の日本」と題する報告書を公表した。同研究所外交政策部長のブルース・ジョーンズ氏を中心に計7人の中国、日本、東アジアなどの専門家の研究員が長時間、討論した記録をまとめた内容だった。
この討論は米国にとって東アジアでは最重要の同盟国とされる日本が中国や朝鮮半島などの変動に対しどんな対外戦略をとるのか、米国への影響を主体に論じていた。
日本へのチャレンジではまず中国の軍事がらみの攻勢として中国の武装艦艇が尖閣諸島の日本領海に恒常的に侵入してくる現実が警告された。ただしジョーンズ氏らからは尖閣が中国の武力攻撃を受けた場合、トランプ政権が「中国との全面戦争を覚悟して日本の無人島を守るかどうか」という疑問が提起された。
同討論報告書がさらに強調したのはトランプ政権の現在の中国との対決政策に日本が同調しておらず、そのギャップが日米対立につながる危険性だった。中国専門家のリチャード・ブッシュ氏は「安倍政権はトランプ政権のいまの経済面の中国との対決政策に同調しておらず、米中対決がさらに激化すれば、トランプ政権はまず日本の企業に対中取引をやめることを望み、さらに日本政府に明確な協調を迫るだろう」と述べた。
日米の対中姿勢の相違については東アジア安保問題の専門家ライアン・ハス氏が「中国への対応の違いを原因として日本が米国との距離をおくシナリオ、日本がさらに中国に接近するシナリオも考えられる」とも提起した。
安倍政権は最近、「中国との関係は完全に正常になった」と言明し、対中交流全体を拡大する方針を明示した。この姿勢はトランプ政権の「協力から競合へ」という標語の下での中国の対外膨張の抑止政策とは正反対であり、米国の政策の否定にもつながりかねない。
トランプ政権の強硬姿勢は10月24日のペンス副大統領の対中新政策演説でも改めて明示された。「中国は昨年よりももっと攻撃的になった」と断じ、「経済関与だけでは専制国家の中国を自由で開放な社会にすることはできない」とも副大統領は宣言した。米中関係も日中関係もまず対話や交流を優先すべきだという安倍政権の言明とは逆だった。
ただし安倍政権もトランプ政権も対中政策のこの根本的ともいえる相違をまだ認めてはいない。その状況に対して反トランプ志向の民主党系シンクタンクの専門家たちが両国の差異をいち早く認めて、その結果、起きうる日米離反までを論じたという事実は日本側としても重視すべきだろう。
この民主党系専門家たちとペンス副大統領とでまったく一致していたのは尖閣諸島への中国の軍事攻勢の危険だった。この点も安倍政権は中国に対してなにも提起していない。(
産経より抜粋)
「自衛隊の現有戦力では危険」アジア安全保障の専門家がアメリカから訴える理由
10/29(火) 11:57配信 PHP Online 衆知(Voice)
月刊誌『Voice』11月号に登場のスタンフォード大学フーバー研究所のマイケル・オースリン氏の専門は安全保障。同氏は「自衛隊をもっと増強すべき」と日本に訴えている。
スタンフォード大学フーバー研究所リサーチフェローで、アジア地域の安全保障が専門のマイケル・オースリン氏。月刊誌『Voice』11月号では、同氏は「日本は中国や北朝鮮の脅威を念頭に自衛隊をもっと増強すべきだ」と唱えている。
日韓関係が悪化し、日米同盟の将来も懸念されるなか、われわれはいかに自国を守るべきか。知日派の専門家が訴える、日本の生きる道を説いた一節を誌面より一部抜粋して紹介する。(取材・構成 大野和基:国際ジャーナリスト)
※本稿は『Voice』(2019年11月号)マイケル・オースリン氏の「自衛隊増強で「アジアの終わり」を防げ」より一部抜粋、編集したものです。
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日韓関係に改善の余地はあるか
――あなたは、日本・韓国・インド、オーストラリアを結ぶ外側の三角形と、インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポールを結ぶ内側の三角形を合わせた協力枠組み「同心三角形」戦略を提唱しています。
アメリカと基本的価値観を共有する国同士の軍事的紐帯で、日米が主導する「インド太平洋」戦略とも親和性が深い。あらためて、同戦略の狙いを教えてください。
【オースリン】 私が提唱している戦略は、同盟を形成するのではなく、コミュニティをつくるものです。
沿海地域や空の安定を維持するべく協力し合う国の強力なコミュニティです。願わくば、地域の問題を解決するための、より強固な政治的まとまりになってほしい。
しかし当然、国によって能力も利益も異なります。アメリカと密接な関係を築く先進国の日本やオーストラリアは、アジアでは広範な利益とビジョンをもっています。人口が多いインドも同様です。
これらの国は他国よりも能力があります。日本は練度の高い軍隊を有し、オーストラリアの軍隊も質が高い。両国はアジアで指導的役割を果たせるほど、外交においてアクティブです。
アメリカはまず日豪と連携し、そのなかに韓国も入ってほしいと思っています。
さらに、日豪韓より国力が小さくても、戦略的位置にあるインドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポールとの連帯も重要です。
小さな国のコミュニティを構築し、大きな国がそこに協力して沿岸防衛や情報共有を進めるべきでしょう。
われわれがいかにしてアジアを安定させられるか、どのように政治的・経済的イニシアティブを共にとることができるか。これらについて検討するリアルなコミュニティをつくるべきです。
――同戦略を進めるうえで懸念されるのは、悪化する日韓関係です。従軍慰安婦や元徴用工をめぐる問題、輸出管理運用見直しから韓国によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄など、懸案事項が山積しています。
安全保障上、日韓は連携すべきでしょうが、歴史認識の相違、国際法遵守における観点から、両国は長期的に「信頼あるパートナー」になれるのでしょうか。
【オースリン】 それはいい質問ですね。私もいま日韓のあいだで起きていることを非常に懸念していると同時に、がっかりしています。
私が本を執筆しているときの韓国の大統領は朴槿惠氏でしたが、当時の日韓関係は比較的良好だったと思います。慰安婦問題でも安倍首相と合意に達し、軍事情報共有でも前進しました。
ところが現在の文在寅大統領は、朴槿惠氏とはまったく異なる見方を示しています。文大統領は強力な左派で、安倍首相は保守的です。政治、経済、思想、地域関係いずれにおいても、2人が同意するとは思えません。
これは非常に危惧すべきことで、日韓双方の同盟国であるアメリカにとっても問題が多い。この二国を協力させることができなければ、事態は悪化する一方です。
――日韓関係が改善に向かう見込みはあるでしょうか。
【オースリン】 両国の関係がどこまで悪化するかはわかりませんが、永久に戦い続けることはないと思います。私自身、当然そうなることを望みません。
しかし、韓国側が真剣に外交に取り組んでいる姿はみえにくい。日韓が共通の脅威に直面したときに協力する余地が生まれるかもしれませんが、文大統領は金正恩氏にどんどん近づいています。
文大統領の行動が金正恩氏の考えを変えるとは思いませんが。とはいえ、必ずしも利益が完全に一致しない中国とロシアが独自の手法で協力しているところをみると、日韓も協力できる領域をみつけられるかもしれません。
有能な自衛隊をさらに強化すべき
――「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領により、NATO(北大西洋条約機構)加盟国の国防負担増、在韓米軍撤退、日米同盟の動揺など、「同盟体制の揺らぎ」が懸念されます。
「同心三角形」戦略を推進する以上、日本はこれまで以上に自国で役割を負担することが求められるでしょう。「アジアの終わり」を回避するために日本ができることは何でしょうか。
【オースリン】 トランプ氏は大統領候補だったときから、日本と韓国がホスト・ネーション・サポート(同盟国に駐留している外国の軍隊に対して受け入れ国側が行なう駐留支援)をもっと負担すべきだ、と訴えています。日本はいま、韓国よりも駐留経費を多く負担しています。
防衛費の問題はNATOの場合、加盟国が防衛費の対GDP比を2%にするコミットメントを交わしました。ところがそれを2018年に達成したのは、加盟29カ国のうち7カ国にとどまった。前年の4カ国からは増加しましたが、もっと増えてほしいですね。
防衛負担は日本にとって、国内イシュー(課題)だと思います。日本には高度な訓練を受けた自衛隊がおり、テクノロジーを使って近代化されています。
日本の防衛費はGDPの1%強程度ですから、もっと負担できるはずです。安倍首相は、F-35戦闘機といったハイエンド(高性能)な能力を獲得することに重点を置いてきました。
――安倍首相は、日本が防衛面で果たせる役割を増やすべきとの認識をもっていますね。
【オースリン】 日本が自国の防衛に必要であると考える、より大きな役割を担ってくれればいいと思います。それは世界中どこでも行けるアメリカのような軍隊をもつのではありません。
問題は、日本がいま保有している20隻ほどの潜水艦で自国の防衛に十分なのか、ということです。答えはおそらくノーでしょう。
もっと進んだ戦闘機をもつべきか? 日本はアメリカからF-35を100機以上購入するといいます。それはかなりの数ですが、日本のすべての島や領土を守るために十分か? 恐らくノーです。
防衛費の問題は、日本が自国の領土を守る戦略に直結する必要がある。日本はいまのままでも自国領土の多くを防衛できると思いますが、中国のパワー増強に鑑みれば十分とはいえません。
アメリカは、日本がアジアで覇権国になることは期待していません。日本の領土が攻撃された場合、自衛隊が主導権を握って応戦し、アメリカはサポートをするだけです。
日本がいま直面している脅威やチャレンジを考えると、軍事力をもっと強化してもいいと思います。
――安倍首相の宿願ともいえる憲法改正についてはどう考えていますか?
【オースリン】 憲法第9条を改正することは象徴的なものであり、安倍首相の視点からみるとたしかに重要です。あとは日本自身が決める問題でしょう。
そもそも安倍首相は、集団的自衛権行使や武器輸出、武器開発について、すでにほとんどの改正を実現しています。さらに日本に求められているのは、アジア地域の海上パートナーとよりアクティブに行動することです。
日本の沿岸警備隊は優秀で、他の空軍とアクティブな関係にある。日本の防衛予算は約500億ドルで、額としては国際的にみて多い水準といえます。憲法改正の象徴主義も重要ですが、改正が実際にどれだけ日本の行動を変えるかは別問題です。
良好な日中関係構築の鍵は日本の指導力
――日本にとって中・長期的に最大の脅威である中国に対しては、どう向き合うべきでしょうか。
【オースリン】 日中関係においても、日本は「同心三角形」戦略に基づき、アジアで主導的な役割を担うべきでしょう。日中関係は、日本と他のアジア諸国との関係の関数になります。
日本がアジアでアクティブかつ協力的でイノベーティブになるほど、中国との関係も良くなると思います。中国はアジアでの日本の強さを認識し、無視することができなくなるからです。
両国はアジアの大国として共存する方法をまだ見出していない。一方の国が強くもう片方の国が弱ければ簡単ですが、両国が強い場合に良好な関係を維持するのは難しくなります。
安倍政権下での日本をみると、安定したリーダーシップが7年近く続いています。猛烈に成長はしていないものの、安定した成長です。
中国からすれば、日本が自衛隊の能力を向上させることで、日本をメジャー・プレイヤーと見なして対峙しなければならなくなる。
――一定の力を日本がもつことで、中国との真っ当な関係を築く基盤ができるのですね。
【オースリン】 アメリカはいつかアジアからいなくなるかもしれませんが、日本と中国はそのまま残ります。日中関係は今後さらに、アジアの中心的なイシューになるでしょう。
日中は互いにアジアでの影響力やパワーを求めて激しく競争している一方で、協力したいと考えています。
経済分野では、日米が牽引するADB(アジア開発銀行)と、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)が対立している構造ですが、日本は開発援助をもっと進めるべきです。
民主主義のイシューについては、リベラリズムを求めているアジア諸国は多い。彼らは自国民の可能性を発揮し、自由を与える方法を見出したいと思っています。
そこで日本の出番です。日本は韓国や台湾とも連携を深め、安定した民主国家を維持する方法について、アジアでリーダーシップを発揮して広めていくべきでしょう。(
Yahoo!より抜粋)
北極圏の資源開発に野心、ロシアが「武装」砕氷船を進水
10/29(火) 15:55配信 二ューズウィーク日本版
<携行式対空ミサイルや巡航ミサイル「カリブル」、ヘリコプターの離着陸台も備えた砕氷船「イワン・パパーニン」の任務は>
10月中旬に極東で大規模な軍事演習を行ったばかりのロシアが、新たな砕氷船をお披露目した。北極圏の北方艦隊に配備される。
10月25日にサンクトペテルブルクのアドミラルティ造船所で進水式が行われた砕氷巡視船「イワン・パパーニン」は、排水量8500トン、全長およそ100メートル。ロシア海軍によれば、タグボート(曳船)や巡視船、砕氷船と調査船としての機能を兼ね備えている。
国営タス通信によれば、イワン・パパーニンを建造した統一造船会社のビクトル・チェルコフ将官は次のように語った。「北方艦隊の安全を確保できるような船をつくりたかった。同時に科学調査も行える機能を持たせ、北極圏におけるロシアの国益を守れるようにもしたかった」
北極圏に眠る豊富な石油や天然ガスなどの資源を確保しようと狙うロシアにとって、北極圏で権益確保は戦略上の重要な目標だ。
<駆逐艦並みの兵器システムを搭載>
そのために、ソ連の著名な探検家イワン・パパ―ニンにちなんで命名されたこの砕氷巡視船には、携行式対空ミサイルや巡航ミサイル「カリブル」が搭載され、電子戦システムやヘリコプターの離着陸台も備わっている。厚さ約1.7メートルの氷を砕くことができ、就役は2022年か2023年となる見通しだ。
ガゼッタ紙の報道によれば、統一造船会社のゲオルギー・ポルタフチェンコ会長は、イワン・パパーニンは「無限の異なる任務」に対応でき、北極圏で「きわめて効率的に」作業を進められるように設計されていると豪語した。
米ナショナル・インテレスト誌によれば、ロシアは世界一多くの砕氷船を保有しており、その数は国と民間企業で40隻にのぼる。うち6隻が原子力砕氷船だ。同誌はイワン・パパーニンについて、「駆逐艦並みに」特化した兵器システムを備えている点が特徴だと指摘している。
ユーラシア・デイリー・モニター紙は6月、「軍の砕氷船は北極圏の覇権争いにおけるロシアの切り札となるか」と題した記事を掲載。ロシアが2020年までに、「既存の脅威」に対して北極圏での安全保障を確保できる複数の部隊を配備する計画だとし、2024年にはイワン・パパーニンと同じ多目的の砕氷巡視船「ニコライ・ズボフ」を就役させる計画だと報じた。
<北極海「完全支配」の決意>
同紙はこの記事の中で、一連の計画は「北極海航路(NSR)、およびロシア沿岸を通って東アジアと北欧を結ぶ北東航路を完全に支配する」というロシア政府の決意を示していると指摘した。
それを如実に示したのが、10月15日~17日にロシア北極圏と極東地方で実施された大規模軍事演習だ。1万2000人以上の兵士が参加し、原子力潜水艦5隻、航空機105機、ミサイル発射装置213台が動員された。北方艦隊の主要基地セベロモルスクからは、重原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェーリキイ(ピョートル大帝)」をはじめとする海軍の艦船15隻が、バレンツ海に向けて航行した。
トラブルもあった。演習計画では、原子力潜水艦K44「リャザン」は大陸間弾道ミサイルの発射を2度行うことになっていたが、1度しか成功しなかったのだ。(
Yahoo!より抜粋)