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「サイバー戦争」が切り開く「脱・専守防衛」への期待・・426(ある意味「最強の特務機関征伐」を開幕雷撃張りに・・・)

なにせ「中国IT業界の中核を担う存在にして最強の特務機関」なだけに、米中対立が本格化する以上「開幕雷撃代わりに真っ先に血祭りにあげる」のは定石でして、ねえ…(思案)

少なくともサイバー空間では「すでに第二次太平洋戦争が始まっている」と見た方が…(思案)

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半導体の歴史に重大事件、ファーウェイは“詰んだ”




6/1(月) 8:01配信 JBpress



 2020年5月14日は、世界半導体産業の歴史に刻まれる日になる――と直感した。この日に、次の2つの“重大な事件”が明らかになったからだ。



 (1)台湾のファウンドリ(半導体受託生産メーカー)TSMCが120億ドルを投じて、12インチウエハで月産2万枚の半導体工場を米アリゾナ州に建設することを発表した。

 (2)同日、米商務省が中国のファーウェイ(華為技術)への輸出規制を強化すると発表した。それを受けて、TSMCは2020年9月以降、ファーウェイ向けの新規半導体の出荷を停止する。

 ここ数年、TSMCは、米中ハイテク戦争に揺さぶられ、両大国からの綱引きにあっていた。しかし結局、TSMCは、中国ではなく、米国に付くことにしたわけだ。

 TSMCにとっては、ファーウェイ向けの半導体受託製造ビジネスは全売上高の約15%を占めており、これは最大顧客の米アップルに次ぐ規模である。にもかかわらず、全面的に米国の要請を受け入れたのは、TSMCの売上高の約60%が米国向けだからである(図1)。

 TSMCが120億ドルを投じる半導体工場は、2021年に着工し、2024年から月産2万枚で、5nm(ナノメートル)プロセスの量産を開始する。120億ドルの投資は、2021~2029年の長期間としており、月産2万枚で留まらず、もっと規模を拡大すると予想される。

 というのは、TSMCの台湾の工場群の半導体製造キャパシテイは、12インチウエハ換算で月産約110万枚もある。120億ドルを投じる米国の半導体工場が、わずか月産2万枚で留まるはずがない。

 また、TSMCは、台南のサイエンスパークに、2022年に157億ドルを投じて3nmプロセスによる量産を開始する。したがって、いずれ、米国工場にも3nmプロセスをコピーするだろう。

■ TSMCの米国の半導体工場建設が差し止め

 ・・・などと想像していたら、3人の米上院議員が、TSMCの米国工場建設に待ったをかけた(EE Times Japan、5月15日)。この記事の中で、TSMCの元主席弁護士のディック・サーストン(Dick Thurston)氏は、「TSMCがアリゾナ州を選んだのは、『知事が共和党の州を支援したい』というトランプ大統領の都合が優先されたためだろう」と述べている。

つまり、TSMCがアリゾナ州に半導体工場の建設を決めた背景には、トランプ大統領が再選されるか否かに注目が集まる今年の大統領選など、政治的要因が関わっている可能性が高いというわけだ。そのため、チャック・シューマー(Chuck Schumer)氏ら3人の民主党上院議員が、米商務長官のウィルバー・ロス(Wilbur Ross)氏および米国防長官のマーク・エスパー(Mark Esper)氏宛に書簡を送付し、調査を行って、関連当局や歳出委員会が概要について十分把握するまでは、TSMCの米工場建設に関するあらゆる交渉や議論を中止することを要求したのである。

 このような経緯から、TSMCが本当に米国に半導体工場を建設するのかどうかが分からなくなってしまった。

 そこで、本稿では、TSMCの米国半導体工場建設には触れず、TSMCがファーウェイ向けの半導体受託製造を停止することの影響について論じたい。結論として、TSMCのこの決断は、ファーウェイにも、中国にも、そして日本のサプライヤーにも甚大な影響が出ることを指摘する。

■ 米商務省によるファーウェイへの輸出規制強化

 米商務省は、ファーウェイが世界中に配置している通信基地局にバックドアを仕掛け、米国の秘密情報などを不正に入手しているとして、昨年2019年5月に、ファーウェイをエンティティーリスト(EL)に追加した。

 その結果、クアルコム、ブロードコム、インテルなど、米国製の半導体は、ファーウェイへの輸出が禁止された。また、ELに載ると、米国製でなくても、米国の知財が25%以上含まれている場合、輸出が禁止される。そのため、スマートフォンのOS(Operating System)のAndroid上で動くアプリ(例えばGmailなど)をファーウェイは、使うことができなくなった。

 ここで、TSMCの挙動に注目が集まった。というのは、ファーウェイは、傘下のファブレス(工場を持たない半導体設計会社)のハイシリコンにスマートフォン用プロセッサや5G通信基地局用半導体を設計させ、これらの半導体をTSMCに生産委託していた。そして、TSMCは、アプライドマテリアルズ、ラムリサーチ、KLAなどの米国製の製造装置を使って、ファーウェイ向け半導体を製造していたからだ。

 そのような中、TSMCは、米国の弁護士事務所に徹底的な調査を行わせた結果、「25%規制には該当しない」と結論し、ファーウェイ向けの半導体製造を継続していた。冒頭で述べた通り、TSMCにとってファーウェイは、売上の15%を占めるビッグカスタマーであるという理由もあっただろう。

 しかし、これを問題視した米政府は、2019年後半から、「ファーウェイに限っては、米国の知財が10%以上含まれている場合、輸出を禁止する」という法案を検討していた。

 筆者は「一体どうなるのだろう」と推移を見守っていたが、今年5月14日、とうとう、米商務省は、ファーウェイ向けに特別な設計がなされている半導体の輸出を全面的に禁止した。この規制は、「米国知財が10%以上含まれていたら輸出禁止」ではなく、「全面的に禁止」という厳しい内容である。そして、TSMCはこれに従うことを発表したのである。このTSMCの決断は、ファーウェイにとって、あまりにも甚大である。

■ ファーウェイにとって致命的な打撃

 図2に、2018年と2019年における企業別のスマートフォンの出荷台数を示す。ファーウェイは、米国から輸出規制を受けていたにもかかわらず、2019年に2.4億台のスマートフォンを出荷した。ファーウェイは、3位のアップル(1.9億台)に5000万台の差をつけて突き放し、1位のサムスン電子(2.9億台)にあと5000万台に迫る勢いである。

また、ファーウェイは、5Gの通信基地局でも、世界の約70%を独占しようとしている。ファーウェイを排除しようとしているのは、米国、日本、オーストラリアくらいしかなく、それ以外の多くの国々はファーウェイ製の5G通信基地局を導入する予定である(図3)。

 通信基地局メーカーとしては、欧州のノキアやエリクソン、韓国のサムスン電子などがあるが、ファーウェイ製はこれらより3~4割も安価である上に性能が優れているとされ、それが日米豪以外の国々が導入を決めた要因となっている。

 しかし、年間2.4億台のスマートフォン用プロセッサや世界の約70%を占める5G基地局用通信半導体は、ほぼすべてをTSMCに生産委託している。

 そして、TSMCは世界最先端の微細加工技術で、ファーウェイ向けの半導体を製造してきた。2018年第3四半期には、7nmプロセス(N7)の量産を開始した(図4)。また、2019年後半からは、最先端露光装置EUVを使った「N7+」で先端半導体の量産を実現した。そして、今年2020年第2四半期からは、さらに微細化を進めた5nmプロセス(N5)での量産を開始する。加えて、10月から3nmプロセス(N3)の開発に着手し、2021年前半にN3による量産を立ち上げる予定である。

 昨年、ファーウェイが出荷したスマートフォンのハイエンド機種「Mate 30 Pro」用プロセッサは、TSMCのN7+プロセスが使われた。同時期、アップルのiPhone11用プロセッサはEUVを使わないN7プロセスで製造された。したがって2019年に、ファーウェイのスマートフォン用プロセッサが世界最先端であることが明らかになったわけだ。

 今年、ファーウェイは、TSMCがN5プロセスで製造するプロセッサを使ってハイエンドのスマートフォンを生産する計画だった。来年2021年は、TSMCのN3プロセスを使うことを視野に入れただろう。しかし、これらの計画が全て瓦解した。

 さらに、5G通信基地局には、N7プロセスを使った通信半導体を搭載する予定だったが、これも雲散霧消した。TSMCの生産委託を打ち切られたファーウェイに、打開策はあるのか? 

■ ファーウェイへの打撃

 いま一度、図1に示したTSMCの地域別売上高構成比を見ていただきたい。2019年第4四半期に20%以上あった中国比率が、2020年第1四半期に約10%に低下していることが分かる。これは、米国による規制強化の動きを察知したファーウェイが、半導体の生産委託先の一部を、TSMCから中国のSMIC(中芯国際集成電路製造)に切り替えていることを意味している。

 今年の第3四半期以降は、ファーウェイは、TSMCに生産委託できなくなるため、ほぼすべてをSMICに変更せざるを得なくなる。しかし、SMICに、ファーウェイ向けの半導体を製造する能力があるのだろうか? 

 その答えは、2つの観点から「No」ということになる。

第1に、SMICには、TSMCのような最先端の微細加工技術がない。図5は、SMICの半導体受託ビジネスにおけるプロセスノード(微細加工技術)の割合を示している。SMICでは、2019年第4四半期に、やっと14nmプロセスのリスク生産が始まったところで、そのビジネス規模は、2020年第1四半期でもわずか1.3%しかない。これでは、ファーウェイが必要とする7nmや5nmプロセスによる半導体はまったく製造することができない。

 比較のために、TSMCの微細加工技術の全貌を図6に示す。ただし、これは、ビジネスではなく、各プロセスノードの12インチウエハ換算の出荷枚数であるため、あくまで間接的な比較であることを断っておく。

 図6によれば、SMICの14nmに相当する16/20nmをTSMCが量産に使い始めたのは、2014年第3四半期である。その後、TSMCは、2017年第2四半期に10nm、2018年第3四半期に7nmを立ち上げ、2020年第2四半期には5nmが立ち上がる。したがって、SMICは微細加工技術において、TSMCより5年ほど遅れを取っていることが分かる。

■ SMICは生産キャパシテイも足りない

 第2に、生産キャパシテイの問題がある(図7)。たとえ、SMICが奇跡的に微細加工技術を進めることができたとしても、ファーウェイ用の半導体をすべて製造するのは困難である。というのは、2019年の平均月産ウエハ出荷枚数(12インチ換算)で、TSMCが108.3万枚であるのに対して、SMICはその5分の1以下の20.5万枚しかないからだ。

 もし、売上高とウエハ出荷枚数が比例していると仮定すると、TSMCのファーウェイ向けのウエハ出荷枚数は毎月、108.3万枚×15%=16.2万枚となる。これは、SMICの全ウエハ出荷枚数の約80%に相当する。要するに、大雑把に言えば、SMICの生産キャパのほぼすべてをファーウェイ向けにするようなものであり、いくらなんでもこれは無理だろう。

 このように、SMICの微細加工技術はTSMCの5年遅れであり、その生産キャパシテイはあまりにも貧弱である。そこで、生産キャパシテイを拡大するために、中国政府がSMICに対して、約2400億円の出資を決めた。

 しかし、この程度の出資では、一気に微細加工技術を進めることは難しく、生産キャパシテイを飛躍的に拡大することもできない。国家的な支援としては、1桁金額が小さいように思う。

■ メンツ丸潰れの中国政府

 中国政府は、建国100年の2049年までに、「一帯一路」と呼ばれる世界最大のインフラ群を構築しようとしている。その一環として、5G通信で世界を制することが掲げられている。そして、この構想を実現するべく、図3に示したように、ファーウェイは、世界の約70%の国や地域に、5G通信基地局を導入する契約締結を進めてきた。

ところが、TSMCがファーウェイ向けの半導体製造を停止するため、7nmプロセスを使った世界最先端の通信半導体が調達できなくなってしまった。ということは、ファーウェイは、安価で高性能な5G通信基地局を、契約を結んだ世界の国や地域に提供できなくなるということだ。

 このことは、中国の一帯一路構想が頓挫することを意味する。中国政府にとっては、メンツが丸潰れになるということだ。

 中国の政府系新聞「環球時報」は、米企業のアップル、クアルコム、シスコ、ボーイングを名指しで警告し、中国政府が報復措置を取る構えを見せていることを報じている。しかし、いくら報復措置をとろうとも、TSMCの最先端技術と生産能力がなければ、5G通信で世界を制する夢は叶わない。TSMCの代わりになるファウンドリは、世界のどこにもないのである。

■ ファーウェイの悪あがき

 ファーウェイは、この窮地を何とか回避するべく、打開策を講じようとしている。例えば、日経新聞(5月23日付)は、「ファーウェイの半導体は、傘下のハイシリコンが設計しているが、これを台湾MediaTekと紫光集団傘下のUNISOCが設計するよう打診している」と報道している。

 しかし、MediaTekもUNISOCもファブレスであり、どこかのファウンドリに生産委託するしかない。

 MediaTekは、TSMCに生産委託するしかなく、そのTSMCはファーウェイ向けの半導体を製造しない。また、UNISOCは、SMICに生産委託するしかなく、SMICではどうにもならないことは既に述べた通りである。

 MediaTekとUNISOCが、7nmの量産を開始しようとしている韓国サムスン電子に生産委託するという方法もあるが、もしそのようなことになったら、米商務省は、サムスンにもファーウェイ向け半導体の出荷停止を要求するだろう。

 さらに、奇跡が起きて、SMICが、10nm、7nm、5nmの技術の開発に成功したとしても、米商務省は、SMICをELに加え、AMAT、Lam、KLAの装置輸出を禁止するかもしれない。実際、SMICは、最先端露光装置EUVを、2019年にASMLから導入しようとした。ところが、米国政府がオランダ政府を通じて圧力をかけたため、ASMLはEUVを出荷できなかった。

 結局、ファーウェイにとっては八方塞がりの状態であり、最先端の半導体を調達する道は閉ざされたように思う。

■ 日本のサプライヤーも打撃を受ける

 個人的な憶測だが、米国政府がこれほど厳しい輸出規制をファーウェイに課した背景には、「中国が新型コロナウイルスの情報を隠蔽した結果、米国で最も多数の感染者と死亡者が出た」ことに対する恨みが込められているように感じる。

 いずれにしても、TSMCがファーウェイ向けの半導体製造を停止することをきっかけとして、米中ハイテク戦争は、ますます激化するだろう。

 そして、TSMCのこの決断は、日本のサプライヤーにも波及する。

 ファーウェイは、2019年に世界2位の2.4億台のスマートフォンを出荷した。しかし、今年9月以降、TSMCがファーウェイ向け半導体の出荷を停止するため、今後ファーウェイのスマートフォン出荷台数は激減する可能性が高い。すると、ファーウェイのスマートフォンに使われているKIOXIA(旧東芝メモリ)のNAND、ソニーのCMOSセンサ、村田製作所の積層型セラミックコンデンサなど、日本のサプライヤーのビジネスが打撃を受けることになる。そして、これら半導体や電子部品を製造するために必要となる製造装置や材料ビジネスにも、ドミノ倒し的に、その影響が波及する。

 2020年はコロナ騒動で幕を開けた。日米欧で、やっとコロナの第1波のピークが収まったと思ったら、今度は米中ハイテク戦争の激化である。さらに、TSMCの米国工場建設を巡っては、一波乱も二波乱もありそうである。まったく心休まる暇がない。なんという年になったのかと溜息が出る思いだ。(Yahoo!より抜粋)

「ファーウェイ採用は狂気の沙汰」米国がそこまで排除にこだわる背景




6/12(金) 9:16配信 プレジデントオンライン



米国は、中国通信機器最大手「ファーウェイ」を目の敵にしている。なぜそこまで締め出しに躍起となるのか。科学ジャーナリストの倉澤治雄氏は「米NSAは『ファーウェイ製品の拡大は中国軍の攻撃力を高める』と警告している。これから世界は、米中二つの陣営に分断されるだろう」という――。



 ※本稿は、倉澤治雄『中国、科学技術覇権への野望 宇宙・原発・ファーウェイ』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

■「ガラパゴス化するのは米国」になりつつある

 英国は2020年1月31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)、EUを離脱した。直前の1月28日、英国政府は正式に次世代通信ネットワーク5Gへのファーウェイの参入を容認する決定を行った。翌1月29日にはEUも続いた。

 米国のファーウェイ包囲網は崩壊、今や排除に同調するのは日本、オーストラリア、ベトナムだけとなった。「ガラパゴス化するのは米国だ」との指摘が現実のものとなりつつある。

 ファーウェイ容認の立役者ボリス・ジョンソン首相は国家安全保障会議(NSC)のあと、「英国民が最高の技術を享受することは死活的に重要で、政府は同盟国との安全保障協力を危険に晒すことはない」と議会で強調した。

 しかし決定に至るまでには、米国家安全保障局(NSA)と英諜報機関MI5(MilitaryIntelligence Section5)の間で長く激しいバトルが繰り広げられていた。

 英国は2019年4月、NSCでファーウェイの参入を一部認める決定を行った。評決は5対4だったと伝えられる。ところがこれに不満のギャビン・ウィリアムソン国防相が情報をリーク、当時のテリーザ・メイ首相によって解任される騒ぎとなった。

■土壇場で米英諜報機関が大バトル

 一方米国は世界最強のインテリジェンス同盟「ファイブアイズ」が崩壊の危機に晒されるとしてロビー活動を展開、英国政府に対する圧力は2020年に入って激しさを増した。

 あまりの執拗さにMI5トップのアンドリュー・パーカー長官は1月12日、英紙ガーディアンとのインタビューに応じ、「たとえファーウェイ製品を採用しても、米英の諜報機関としての連携が損なわれるとは思わない」と否定、むしろ米国の圧力に不快感を示した。諜報機関のトップがインタビューに応じるのは極めて異例である。

 焦ったのが米国だ。翌1月13日には米国のマット・ポッティンガー副顧問(国家安全保障担当)率いる代表団が英国に乗り込み、セキュリティーリスクを証明する「大量の証拠」を英側に示した。米側は、ファーウェイ製品の採用は「狂気の沙汰だ」と警告するとともに、「ファイブアイズ」での情報共有に支障が出ると主張した。

 これに対してジョンソン首相は1月14日のBBCとのインタビューで、「特定メーカーを排除するなら他の選択肢を示すべきだ」と応じるなど、対立は深まった。

 4Gで出遅れた欧州諸国にとって早期の5G普及は死活問題だ。英国では2019年7月以降、大手通信事業者4社のうちEE、ボーダフォン、スリーUKの3社がファーウェイ製品を採用して5Gサービスを開始した。英国以外でもスイス、イタリア、スペインなどで続々とサービスが始まっている。

■ペンス副大統領の脅し「貿易交渉に影響を与えるだろう」

 5Gの機器構成は大きく分けて「コアネットワーク」と基地局やアンテナなどの「ノン・コア」に分けられる。「コアネットワーク」とグローバルなインターネットの間には堅牢なファイアーウォールが構築される。一方基地局は端末と「コアネットワーク」をつなぐ通信の「土管」である。多数の「土管」から系統的にデータを抜き取ることは極めて困難なのである。

 英国政府の決定によると、ファーウェイは「コアネットワーク」への参入は認められず、軍事施設や原子力発電所での導入も除外された。また設備全体の35%までとの制限が設けられた。

 米国のポンペオ国務長官は直ちに英国に飛んだ。ジョンソン首相と会談後記者会見したポンペオ国務長官は、「我々は信頼できないネットワークを通じて情報交換は決して行わない」と強調したものの、「ファイブアイズに関する限り米英同盟は強固であり、協力関係は継続する」と語った。しかし米国は諦めない。トランプ大統領が電話でジョンソン首相を恫喝したほか、ペンス副大統領が「米英の貿易交渉に影響を与えるだろう」と脅しをかけた。

■ファーウェイの中枢に侵入した「撃たれた巨人」

 では米国はなぜ執拗にファーウェイ排除に走るのか。米国家安全保障局(NSA)は以前ファーウェイの中枢に侵入したことがある。コードネームは「Shot Giant(撃たれた巨人)」。エドワード・スノーデンが2014年に暴露した2枚のスライドを改めて子細に分析すると、NSAの狙いが読み取れる。

 一つはファーウェイ製品が世界中で使われていることから、ファーウェイ製品に風穴を開けて、懸念される国や個人の機微な情報を取得する狙いである。ターゲットとされたのはイラン、アフガニスタン、パキスタン、ケニア、キューバだ。

 一方ファーウェイと中国人民解放軍の関係解明も関心の的となった。NSAのスライドには「ファーウェイ製品による通信インフラの拡大が、中国人民解放軍のSIGINT(通信傍受を主体とする諜報活動)能力やDoS(Denial of Service)攻撃能力を高めるのではないか」との懸念が示されている。

■米国で成立した「クラウド法」の危うさ

 NSAの「作戦」は見事に成功、本社のネットワークに侵入して社内情報、人事・組織情報、技術情報、事業計画などの資料をごっそりと入手したといわれる。

 米国では2018年、「クラウド法」と呼ばれる強力な法律が制定された。「クラウド・コンピューティング」のことではない。正式名称を「Clarifying Lawful Overseas Use of DataAct」(CLOUD法)という。「クラウド法」は情報機関があらゆるデータに令状なしでアクセスすることを事実上認めた。

 きっかけは米国政府とマイクロソフト(MS)の訴訟である。2013年、米捜査当局はMSに麻薬捜査の一環として顧客の電子メールを開示するよう求めたが、MSはサーバーがアイルランドにあることを理由に拒否したところ訴訟となった。

 地裁では捜査当局が勝訴したが、高裁では敗訴した。「クラウド法」の成立により、米政府機関は米国で事業を展開するすべての企業のすべての情報にアクセスできることになったのである。もちろん日本企業の米国支社も含まれる。

 法案はろくに審議されないまま予算案に紛れて可決された。米国自由人権協会は捜査機関が「法令に準拠せずに個人を盗聴できる」として反対を表明したが、時すでに遅しだった。

■独自の半導体開発とOSの構築を進めてきた

 2019年9月、ファーウェイはAIコンピューティングプラットフォーム「Atlas」を発表した。記者会見した胡厚崑(ケンフー)副会長兼輪番会長は「今後5年で人工知能によるAIコンピューティングが8割を占めるようになるだろう」と語った。米国主導のコンピューティングに対する挑戦とも受け取られた。「Atlas」を支える半導体チップはファーウェイが独自に開発した「昇騰(Ascend)」だ。

 ファーウェイはインテルやクアルコムから現在も半導体を調達する一方、独自の半導体開発とオペレーティング・システム(OS)の構築を進めてきた。「昇騰」には「地」から「天」に「気」が昇るとの意が込められている。世界最大の半導体メーカー「インテル」や「クアルコム」、世界最大のコンピューター機器開発会社「シスコシステムズ」や「ジュニパー」、ソフトウェア開発会社「マイクロソフト」「オラクル」「IBM」などが綺羅星の如く並ぶ「天」に向けて、ファーウェイの「気」が上昇を始めるとの意図が込められている。

■グローバル・テクノロジーが終わりを告げる

 ファーウェイに対する輸出規制を「ディール」と捉えるトランプ大統領の方針は揺れ動く。しかし米国政府はファーウェイをはじめとする中国の最先端企業を叩き潰すため、返り血をいとわずデカップリング(切り離し)を進めるだろう。

 米国はこれまで基軸通貨のドルを武器に、知財の保護や市場原理に基づいたサプライチェーンの構築に中心的な役割を果たしてきた。国際的なイノベーションのエコシステムは米国が作り上げてきたものである。米国は今やそれを壊そうとしているかに見える。

 ワシントンの最有力シンクタンクCSISはこれを「グローバル・テクノロジーの終焉」と位置付ける。

 今後世界は米中二つの陣営に分断され、サプライチェーンの再編や人材、研究成果、知的財産の囲い込みが始まると予想される。通信ネットワークには制限がかかり、世界初の統一規格となった5Gは威力を発揮することなく、各陣営でのローカルな利用にとどまるかもしれない。まさに「グローバル・テクノロジーの終焉」である。

 「グローバル・テクノロジーの終焉」は何をもたらすのか、安全保障では米国と同盟関係にあり、中国を最大の貿易相手国とする日本は厳しい選択を迫られる時代になるだろう。(Yahoo!より抜粋)

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